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障害者の障害認定基準は2つある

カテゴリ:今月の特集 投稿日:2015年08月06日

障害者の障害認定基準は2つある

 

 平成2641日より、身体障害者福祉法施行規則「身体障害者障害程度等級表(身体障害認定基準)」の一部改正により障害認定基準が変更されました。この障害認定基準は、障害者手帳の障害等級の認定基準に適用されます。

 平成2761日には、国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部変更がありました。この障害認定基準は、障害基礎年金(国民年金)と、障害厚生年金(厚生年金保険)の受給資格の判定に使われます。

 皆さん、ここで「あれぇ?」と思いませんか?2つの障害認定基準があるのです。それも、認定基準は同じではありません。

 そのため、障害者手帳を持っているからといって、障害(基礎・厚生)年金が受給できるわけではありません。障害者手帳がなくても、障害(基礎・厚生)年金を受給できる場合も有ります。

 

 まずは、障害(基礎・厚生)年金の仕組みを簡単に説明いたします。

 

<障害基礎年金>は、初診日(初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日)に国民年金の被保険者(保険料免除期間を含む)あること、又は被保険者であった者であって日本国内に住所を有し60歳以上65歳未満である者が、障害認定日において、障害等級1級、2級に該当する程度の障害状態にあり、保険料納付要件を満たした場合に支給されます。

<障害厚生年金>は、初診日に厚生年金保険の被保険者であり、障害認定日に障害等級1級、2級、3級に該当する程度の障害の状態である者が、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに保険料納付要件を満たしている場合に支給されます。

その他にも、加重障害や、事後重症による年金受給も有りますが、今回は省略します。

 

 それでは、障害認定基準がどのように異なっているか、いくつか比較してみましょう。

股関節

障害者手帳では、股関節の機能障害の判断は、人口骨頭又は人工関節の手術を受けた場合は、受けた後、経過が安定した時点で機能障害(股関節の機能障害:4級)の有無を判断することになります。現在、医療技術の進歩から、術後は若干の運動制限はあっても、日常生活に支障がなくなるほど回復してしまうため、障害認定は受けられないそうです。

 しかし、障害(基礎・厚生)年金の障害認定基準では、片足の股関節に人口骨頭又は人工関節を挿入した場合は、「3級と認定する」としています。障害認定日は、人口骨頭又は人工関節を挿入した日(手術を受けた日:初診日から起算して1年6か月を超える場合を除く)としています。年金事務所で聞いてきたところ、両足の股関節にそれぞれ人工関節を挿入した場合でも「3級」に該当するそうです。

 このように、障害等級が異なる上に、障害と判断する時期も大きくずれています。

 一例として、股関節の人工関節手術においては、障害者手帳は申請しても障害認定基準に該当しないため手帳が発行さないことになりますが、障害厚生年金3級の請求は可能となります。

 

心臓機能

障害手帳では、ペースメーカを植え込む手術をした場合は、日常生活の制限によって1級、3級、4と区別されるようです。

障害(基礎・厚生)年金では、ペースメーカを装着した場合は、3級以上に該当し、障害厚生年金の受給が可能となることがあります。ただし、心疾患は総合的に判断されるので、術後の治療や日常生活の制限などで障害等級が変更されることもあるようです。

 2つの例を挙げてみましたが、これだけでも、障害手帳と障害(基礎・厚生)年金の障害認定基準の違いがあることがわかります。

 障害者手帳をお持ちで、障害者手帳の障害等級からみて障害(基礎・厚生)年金は該当しないと思われている方、障害者手帳が交付されなかったという方は、もしかしたら、障害(基礎・厚生)年金が支給される可能性があるかもしれません。

お近くの年金事務所で、障害(基礎・厚生)年金の受給について相談されてみてはいかがでしょう。

 

 ちなみに所得税法の障害者控除に該当する障害者とは、「身体障害者手帳」に身体の障害がある人として記載されていることを要件としています。身体障害者手帳の交付を受けていない場合は、障害者控除を受けることはできません。また 障害(基礎・厚生)年金受給を対象とする要件がないため、障害年金を受けていても障害者控除の対象となる障害者とは認められないので注意しましょう。

(国税庁HPより抜粋)

  1. 常に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態にある人  →特別障害者
  2. 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人 →このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者
  3. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人 →障害等級が1級と記載されている人は、特別障害者
  4. 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人 →障害の程度が1級又は2級と記載されている人は、特別障害者
  5. 精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)又は(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人  →このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者
  6. 戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人  →このうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者
  7. 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人→特別障害者
  8. その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人→特別障害者

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1160_qa.htm#q1(障害者が7級程度の障害の場合)