10月、11月と特集をお休みさせていただきました。大変申し訳ございません。
今年もあと1か月、ふるさと納税をするには、今月中にしておかないと、還付は受けられません。
そこで、ふるさと納税をすると地域の物産がもらえる上に、税金が還付されてとてもお得・・とされていますが、本当にお得になるのでしょうか?
所得税の還付を受けるためには、確定申告が必要です。すでに、納付をされた方は、準備をしておきましょう。
しかし、所得税では、ふるさと納税は寄付金として扱うため、ふるさと納税で支払った額のすべてが返金されません。では、なぜ「お得」と騒がれているのでしょうか。
実は、私もふるさと納税をしたいと思い、調べてみました。
所得税で、寄付金控除の対象となる寄付金は次の通りです。
〇寄付金控除の控除額の計算方法
寄付金-2,000円=寄付金控除の額・・・・この額が還付されるわけではありません。
寄付金控除は「所得金額」から「差し引かれる金額」ですので、課税される所得が減額されます。そして、減額された所得額に所得税率を掛けて税額を確定させます。
よって、実際に還付として受けられる所得税額は、
「寄付金控除の額×所得税率」ということになります。
たとえば、20,000円のふるさと納税をした場合に、その年の所得税率+復興特別所得税が5.105%とすると
寄付金控除の額=20,000円-2,000円=18,000円
還付される所得税=18,000円×5.105%=919円
ということになります。
寄付金に対して半額程度の物産品をもらっても、損ということになり、「お得」感は全くありません。ただし、還付されるのはこれだけではありません。
このふるさと納税の寄付金は住民税の「税額控除」の対象にもなっています。住民税は所得税の計算と違って、直接税金を減らしてくれる制度となっているので、納付しなければいけない住民税を減額してくれます。
住民税の寄付金税額控除の対象となる寄付金は次の通りです。
〇寄付金税額控除の計算方法
≪基本控除≫ (寄付金-2,000円)×10%
≪特別控除:ふるさと納税のみに適用される≫
(ふるさと納税寄付金の額-2,000円)×(90%-所得税の税率)
住民税控除額=≪基礎控除≫+≪特別控除≫
所得税の計算例を使って、住民税を計算してみると
≪基礎控除≫ (20,000円-2,000円)×10%=1,800円
≪特別控除≫ (20,000円-2,000円)×(90%-5.105%)=15,281円
住民税控除額=1,800円+15,281円=17,081円
ということになり、所得税と住民税を合わせて18,000の税額控除を受けることができます。
そして、
20,000円(ふるさと納税の額)-18,000円(税額控除の額)=2,000円(実質負担額)
という結果になります。
18,000円も戻ってきて、なおかつ、物産品は2,000円以上のものが多く、2,000円で1万円の品物を購入したという、「お得」があるのです。
これが、ふるさと納税のお得の意味なのですが、住民税は申告しても還付はされません。
実際に寄付をした年の翌年に納付することとなる住民税が減額されることになりますので、負担が減ったという実感はわかないかもしれません。
ふるさと納税が盛んにおこなわれている一方で、本来納めるべき住民税が他の地域へ流出していることになります。
ふるさと納税を受け取る地域と、納税を減額する地域の差も問題視されています。
ふるさと納税は、納税する先を選んで税金を納めることにより町づくりに貢献できることと、「生まれ育ったふるさと」「第2のふるさと」「心のふるさと」へ思いを託すための寄付であって、物産品をもらうためのものではないことに視点をおき、また、現在ご自身が住んでいる地域の活性化も考慮して、納税(寄付)先を見つめなおしてみるのも必要なのかもしれません。
今回はふるさと納税を対象に、概算計算をしてみましたが、寄付金控除には、上限額がありますので、寄付をしたからといってすべて控除額が多くなるということにはならない場合も有ります。
住宅取得控除や医療費控除、その他の所得控除の適用ですでに納付する税金がない場合は、寄付金控除の申告をしても還付は受けられません。また、すべての寄付金が控除の対象となっていないことにも注意しましょう。
ふるさと納税にかぎらず、寄付をした場合は、寄付金の領収証明書が必要です。これがないと確定申告時に寄付金控除が受けられません。寄付金控除の取り扱いは、都道府県・市区町村の条例によっても異なっていますので、寄付をする前に、所得控除が受けられるのか、税額控除の対象になっているのか、お住いの役場でご確認していただくことをお勧めします。
総務省のHPにも、ふるさと納税について詳細が記載されておりますので、参考にしてください。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html
<参考>
※2014年の税法の範囲で記載しております。法改正等がありますので、その年に合わせてご活用ください。
※2015年に法改正があります。ご注意ください。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html