3月3日に、東信支部研修会に参加してきました。
今回は、労働衛生と、労災防止の視点から、「腰痛の多い職種と具体的対応」について、東京農大大学院環境共生学専攻 教授 上岡洋晴様より講義をしていただきました。
その内容を紹介したいと思います。
ここ近年、腰痛は増えてきています。
特に社会福祉施設はとても多く、次に小売業、道路貨物運送業、医療保険業、接客娯楽業、、、と続きます。
社会福祉施設は、介護職員の腰痛が多くなってきています。医療保険業では、歯科医の腰痛が増えているようです。歯の治療時の無理な姿勢が原因のようです。
しかし、腰痛は、労災の適用判断が難しい疾病の一つで、業務災害と認められない場合も多いです。
特に介護職員については、介護職を開始してから腰痛を発症させている場合が多く、腰の痛みに耐えながら勤務する方々の中には、人手不足等で休みたくても休めない現状が有ります。
そこで、自己診断。腰痛を起こしやすいタイプかどうかを診断してみましょう。
①日常生活で、座っていることが多い
②日常生活で、立ちっぱなしになることが多い
③体が硬い方である。
④精神的ストレスが多い
⑤腕っぷしが強い方だ
⑥過去に腰痛を起こしたことがある。
⑦せっかちな性格だ。
どうでしょうか?この7つの質問に対して、5つ以上該当するものがある人は、既に腰痛もち。現在も腰の痛みと闘っている状態だそうです。
3~4つの人でも、要注意、腰痛予備軍になります。私も、その一人。要注意です。
それでも、腰痛は予防も出来ます。それでは例をあげて見ていきましょう。
<腰痛を起こしやすいタイプ>
①日常生活で、座っていることが多い・・・に該当した人
座るときは、できる限り正座が良いそうです。長時間座っている場合は、立ち上がるときに注意を。机などに手をついて、一度腹筋に力を入れてから姿勢を変えましょう。
②日常生活で、立ちっぱなしになることが多い・・・に該当した人
同じ姿勢で立っているため、腹筋を使ってないために筋力の低下により腰痛を発症させることが増えるそうです。
踏み台などを使って、足を入れ替える(足踏みをする必要はない)などして姿勢を変えることで腰痛予防になります。
③体が硬い方である。・・・に該当した人
筋肉が固くなってしまっていることも腰痛につながります。ストレッチなどで体を柔らかくすることが必要です。
④精神的ストレスが多い・・・に該当した人
ストレスと腰痛、因果関係があるらしく、ストレス症状の一つとして腰痛を発症させてしまうこともあるようです。腰痛予防に限らず、適度な気分転換を取り入れましょう。運動やストレッチをするだけでも気分転換になるでしょう。
⑤腕っぷしが強い方だ・・・に該当した人
腕だけで物を持ち上げるなどの動作をするため、腰に負担がかかりやすいのが発症の原因。膝を使って下半身の力を有効活用しましょう。
⑥過去に腰痛を起こしたことがある。・・・に該当した人
再発の可能性が高いです。無理な体勢による体のねじれや、立つとき、座るとき、体を横になるときなど日常生活の行動にも注意しましょう。
⑦せっかちな性格だ・・・に該当した人
急に立ち上がったり、姿勢を変えたりすることで、無理な体勢になり腰痛を発症させるおそれがあります。深呼吸してゆっくりとした行動を心掛けましょう。
ちなみに、ぎっくり腰は、腰の筋肉のけいれんや関節の捻挫に該当するそうです。「魔女の一撃」とも言われるほどの激痛が有るのが特徴です。
私の旦那さんは、職場で段ボールに入った書類を運ぼうとして、重いだろうと思い込んで力をいれて持ち上げたところ、なんと段ボールに書類が入っていなくて軽かったため、不意を突かれてぎっくり腰になりました。こんなことでぇぇと経験のない私は思うのですが、経験者の方々は「ぎっくり腰あるある」だそうで、なんで、こんな時にというところでぎっくり腰になるようですね。
何事かと思うほど動けなくなるものなのですね。あの時は本当に驚きました。
ギックリ腰を経験している方の再発防止として、クシャミには注意してください。壁や机に手をつけたり、膝を床に付けたりして腰への負担を減らして行いましょう。これだけで、ぎっくり腰の予防はできるそうです。
クシャミと聞くと思い出すのは、骨折。私は、クシャミで肋骨と肋骨をつないでいる肋軟骨を骨折しました。この痛みも半端ではなかった。
話がそれましたが、その他の腰痛予防方法としては、仕事前の軽い運動がお勧め。激しい運動よりも、ストレッチなどゆっくりおこなう体操が良いそうです。いちばん取入れやすいのが、ラジオ体操やストレッチ。これから体を動かすという意識付けにつながり、腰痛予防になります。
福祉医療施設で働く職員だけでなく、長時間同じ姿勢で運転をするトラックやタクシーのドラバ―さん、立ち仕事が多いスーパ―のレジ係さん、ぜひ、朝のラジオ体操を職場に取り入れてみてはいかがでしょう。
ラジオ体操の他に、腰痛体操も有ります。ゆっくりと行うストレッチになります。
実は、講義中に、上岡教授の指導のもと、参加した社労士の皆さんで、この腰痛体操してみました。
数日前にぎっくり腰をやったという社労士の先生が参加されていたのですが、会場に来られた時は、腰を丸めて足を引きずりながら痛々しそうに歩いていたのに、体操をした後はケロッとして、「参加を取りやめようと思ったけど来てよかった。今日一番の収穫だ」と喜んで帰られました。
そして、この私、腰痛もちではないのですが、首が回らなくなるくらいひどい肩こり持ち。なんと、この体操、肩こりにも効くようで、少し肩の痛みも和らぎ、堅い体も体操前より柔らかくなりましたよ。
効果抜群の腰痛体操。ただし、正しい姿勢で行わないと効果半減。動画サイトも紹介いたしますので、取り入れやすい体操となっています。
http://www.hakujuji.co.jp/movie/movie02.html
予防をしていても発症してしまうのが腰痛。長年の疲労の蓄積によっても発症してしまいます。
発症してしてしまった場合は、どうするか。。一番は動かないこと、患部を冷やすこと。そして、必ず病院で治療を受けましょう。休めないという方もいらっしゃるかと思いますが、無理をして長引かせるよりは、1日でも早く痛みを取り除くためにも病院へ行ってゆっくり休みましょう。
体を横にして休む場合は、横向きの場合は、両足の間に小さい枕などを挟んでいるとよいそうです。
仰向けに寝る場合は、両膝の下に座布団などを入れて足を高くしてあげることが腰への負担が軽減します。
痛みが取れるまでには、4~5日、長くなる場合は2週間以上かかる場合も。。やはり無理せずに、しっかりと休むことが重要のようです。
急性の腰痛には、マッサージは厳禁です。絶対にしないでください。コルセットや腰痛ベルトで固定してあげるのが良いそうです。1~2週間程度は装着してください。
たたし、痛みが治まっても腰痛ベルトをし続けるのは避けましょう。ずーと使っていることで、必要な腹筋や背筋が弱くなり、逆に腰痛を起こしやすくなります。腰痛ベルトは痛い時に必要なときだけ使いましょう。
再発予防には、腰痛ベルトをし続けるというより、運動やストレッチなどを取り入れて腰回りの筋肉強化をしたほうが腰痛予防や痛みの軽減につながります。
普段の運動により、腰痛の予防につながるものも有ります。
・朝起きたときに腰が痛いときは、変形性脊椎症の可能性があります。これは布団の中で、腰のストレッチをしてから起き上がるとよいそうです。
・夕方疲れてくると腰に痛みが出てくるときは、筋筋膜性腰痛の可能性。入浴して患部を温めて、ストレッチやマッサージで血行を良くするとよいでしょう。
まとめると。。。
<再発防止のための心得>
1.姿勢が大事! 物を持つときは特に注意。荷物は自分の体に近づけ、膝を曲げて持ち上げるようにしましょう。
2.足を上手に使う! 腕っぷしだけではだめ。下半身の力を有効活用しましょう。
3.下っ腹に力を入れる! 腹筋を使い、骨盤や背骨を安定させることで腰痛予防につながります。
4.長く座った姿勢からの体位変換には要注意! 急に立ち上がったり、体をねじったりしないようにしましょう。せっかちさんは特にご注意を。
5.クシャミとセキをするときに注意!! ぎっくり腰になりやすいため、膝を床につけたり、机や壁に手を付けて腹筋に力が入るようにしてから。
6.体が硬い人は腰痛になりやすい!!! ストレッチなどの柔軟体操を取り入れ、筋肉をほぐすことで腰痛予防になります。
体の痛みを放置しておくと、体が痛みに慣れてしまい麻痺状態になります。慣れてしまった痛み以上の激痛が起きないと体が異変を察知できず、悪化してしまうことも。
腰痛にかぎらず、心身の健康管理の予防するとともに、違和感を感じたら、早めに医師の診断を。
女性の場合は、卵巣等の病気により腰痛が発症することも有るそうです。定期的な健康診断もしっかりと受診しましょう。
最後に、
「腰痛予防・軽減のための4か条」
自分流:自分の身は自分で守る
か:肝心なのは、その姿勢
い:痛いときだけ、腰痛ベルト
ご:心と体をほぐすストレッチ
今回、この特集を掲載するにあたり、快く承諾していただきました上岡洋晴教授に感謝いたします。